秘められた愛の告白、二重の反転

「戦時下の制約の中で、モールス信号という共通言語でしか伝えられなかった、究極の魂の結びつきを描いた名作」
終戦の日に特攻へ向かった湯口の最期は、一見すると悲劇です。しかし、ラストシーンで寄り添って舞い上がる「二羽の燕」の描写が、彼らが軍人という身分も、性別も、生と死も超えて、ようやく一対の魂として自由になれたことを示唆しています。 第三者である佐々木中尉の視点を通すことで、読者もまた、その「許されざる、けれど誰よりも純粋な絆」の目撃者になれる、非常に完成度の高い作品でした。

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天空の糸

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