愛はかげろう……

恋だ愛だ憧れだ理想だ。それを相手に求めると言うのは、結局のところ幻想なのかもしれません。


こちらの世界では、『好きだった頃の相手(のミニサイズ)』を閉じ込めて、永遠に保管できる透明な箱が十万円で売られています。

まずこの……十万円っていう値段が考えさせられますよね。




どんなに熱く燃え上がった二人でも、冷めるはくるのでしょうか。
愛していた夫の面影は、あの頃とは全く違うものになり、
料理一つで喧嘩になる始末。

それで主人公は、この箱を購入してしまうのでした。

箱の中には、優しくてハンサムだった頃の彼(のミニサイズ)がいるのでした。
辛い時も、悔しい時も、箱の中の彼に話しかければ優しい言葉が返ってくる。
主人公は幸せを手にしました……が、



箱を持っていたのは主人公だけではありませんでした。



ここからが実に深いテーマなのですが、
ようは、自分が好きだった頃の相手は、『今の自分を愛せているか』ということなんですよね。
箱の中に閉じ込めていた相手は、自分の事が嫌いだとしたらそれは、箱の中は地獄になってしまうわけなのです。



さて、理想とは? それを相手に求めることにどんな意味があるだろう?


考えるいい機会になるかもしれません。

救いの見えるラストも必見。


ご一読を。





















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