郷愁が胸を打つノスタルジア・ロマン。
- ★★★ Excellent!!!
迷信深い祖母は、昔の私によく謎めいた話をこぼしていた。
いつも同じ話だからと、当時の私は煙たがっていたが、今となってはなぜだか印象深い。
私が祖母と同じくらいになった時、自分以外は誰もいなくなった。
だからなのか、よく見るのだ。
昔の家に戻る夢を――
・
読んでいて懐かしい気持ちになる作品。
祖母と孫の距離感、今はなき古い実家、迷信の内容、あたたかな雰囲気――
思い出による補正も加味されているだろうが、家族と話す時のくすぐったい感覚が、上手く再現されている。
得ていたのに得ていない、気付いたときには取り戻せない。
そういう不思議なやるせなさが、郷愁となって胸を打つ。