怒りと後悔を抱いたまま、少女は怪異へ変わる

序盤で丁寧に描かれるのは、怪異よりも人間側の醜さと孤独。

主人公の屍々子は正義の味方ではなく、ただ理不尽に殴られ、殺され、戻ってきた存在だという事。

その復活も祝福でなく、異常事態として描かれ、世界は一切優しくならないからこそ、彼女が立ち上がる姿に惹かれます。

志々子の語り口は容赦なく荒く、暴力的で、生々しいからこそ、志々子という少女の不良性と孤独が、怪異という物語とマッチしているように感じます。

感情を前面に出すことで読者を力ずくで物語に引きずり込む序盤でした。

個人的な事ですが、死の描写に関しては私が書いている作品にも参考になりそうでした。


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