愛しい揺れ、小さな漣。波はうねりとなり、世界を揺らすか。

日常の隣にあるようでいて、特別な世界。
そしてその世界はひとりの「人間」に詰め込まれたすべて。

彼の青春は、窮屈で息苦しい。
それもまた彼がひとりの「人間」であるからこその抑圧で
だからこそ避けられない。

幸福も、痛みも。息苦しさも、自由も。
ひとりの「人間」にはこれだけの「ドラマ」が詰め込まれているのだと
鮮烈な発見を得るのです。

読む手が止まりませんでした。

主人公の人生においては「一瞬」かもしれない「青春」の瞬間。
そこに立ちあえることを幸運に思えるほどのリアルがここにあります。

作者様の書かれる世界に出会えてよかった。
心からそう思える作品です。

その他のおすすめレビュー

依近さんの他のおすすめレビュー7