率直に言って、ヤバい。完成度が激高い。
レビューコメントで何をどう書くべきかしばし語彙力を失うくらい素晴らしい。
私なりに本作の素晴らしさを書くとしたら、このような感じだろうか。
本作は内包する物語そのものと描写、表現が相似し、対照している。
いくつもの比喩と言葉を並べることで輪郭を浮かび上がらせ、それによって見えないもの、名もなきものの姿を鮮やかに描き出す。
それは決して過剰な装飾でもなければ不要な言葉でもない。それらのすべてが物語の要であり、そして同時に作中のあらゆる存在を語らずして語るための手段でもある。
語り得ないことを語る。見えないものを見る。知り得ないことを知る。
それは矛盾ではなく、浮かび上がった相として読み手の脳裏に像を結ぶ。
この作品がより多くの人の手に届くことを。小説が言葉を用いた芸術であることを感じながら、この物語を味わって欲しい。
この作品は、派手な戦いや分かりやすい英雄像を描くタイプの物語ではありません。空や風、光のわずかな変化を感じ取り、それに応じて人が動く――そんな静かなやり取りが、丁寧な文章で描かれています。登場人物たちは多くを語らず、自分に与えられた役割を淡々と果たしますが、その姿からは、世界を守ることの重さや、責任の静かな強さが伝わってきます。
読み進めていくうちに、空の広さや、人の営みの小ささ、そしてそれでも続いていく日常が、自然と心に残ります。
かなりめずらしいストイックなハイファンタジーなので、とても読めて嬉しかったです。