造られし勇者は報復の刃を突き立てる

　五百年前、異世界衝突（エクリプス）によって人類は魔族との果てなき戦いに巻き込まれた。勇者と魔王が生まれ続ける宿命の中、三大魔王の侵攻を受けて滅亡の危機に瀕したグレイヴィシア王国は滅びの刻をほんの少しでも先送りするために、禁忌の「人造勇者計画」に手を染める。
　完成した七人の人造勇者は人類の限界を超えた力で劣勢を覆し、三大魔王との決戦に挑んだ。六人が散り、ただ一人リーガンだけが生き残った。だが最後の魔王を討ったのは、彼ら人造勇者ではなく本物の勇者だった。
　国を救いながらも存在を秘匿され、仲間の名すら墓碑に刻まれない。それは人造勇者全員が、最初から受け入れていた運命だった。
　リーガンもまた自らの力を封じ、墓守として生きることを選ぶ。
　しかし「最強にして最後の人造勇者」の戦いは、まだ終わってはいなかった。