静かな強さで人を支える師弟が、揺れる後宮に小さな光を通す物語
- ★★★ Excellent!!!
後宮で起こる出来事のひとつひとつに、そこに暮らす人の不安や小さな願いが滲んでいて、読んでいると胸がざわつく場面もあります。それでも、シェンリュの落ち着いた姿勢と、そばで必死に学ぼうとするメイリンの姿が、物語をゆっくりと前へ運んでいきます。病や疑いが人を追い詰める中で、ふたりが真実を確かめようとする過程は静かですが確かな強さがあります。黒猫の登場のような温かい一場面が重さを和らげ、後宮という閉じた世界に少しだけ呼吸を通してくれる作品です。