誰もが一度は耳にしたことのある、赤ずきんの物語を思わせる始まりです。
森と少女、そして狼。どこか懐かしくて、おとぎ話の空気をまとっています。
けれどこの物語で描かれるのは、優しいだけの童話ではありません。
狂気は突然現れるものではなく、最初から当たり前の顔でそこにある。
純愛と呼べてしまいそうな感情が、少しずつ形を変えていく過程が、ひたすら不穏で美しい——
イオリ⚖️先生の文章はどの作品もとても映像的です。
本作も森の湿度、光の差し込み方、情景や仕草、視線の動き……もう自然と頭の中に立ち上がってきます。
そして、童話という枠を借りながら、この作品は読者に問いを投げかけてくるのです。
――ねぇ、自分たちは、本当の「赤ずきんちゃん」をどんな気持ちで読んでいたんだっけ?
森を挟んだ二つの村。
赤ずきんを被った女の子は、隣村に住む祖母に会いに行くために近道しようと、森に入りこむ。
しかし、その森には恐ろしい狼が出るという言い伝えがあった。
そして少女が森で出会ったのは、眉目秀麗な青年だった……。
童話「赤ずきん」の物語をベースとしながら、作者様の紡ぐ魅惑の言葉によって新たに描かれた恋物語です!
人と狼……違う世界に住む者同士が、深い森の中で心を通わせる。
それは互いにとって、とても大切な時間。
しかし時が立つにつれ、生きていく世界が違う二人の、その心の違いが浮き彫りになっていくのです。
その時、二人はどのような選択をとるのか!?
詩的で美しく、森の翳りのような世界観……是非ともご堪能ください!