奪われたすべてを、力で、誇りで、取り返していく悪役令嬢

最初の一行から、感情を強く掴まれる作品でした。
理不尽に奪われ、踏みにじられ、それでも怒りを抱えたまま立ち上がる主人公の姿が、とにかく真っ直ぐです。その感情が一度もごまかされず、最後まで貫かれているのが印象的でした。

舞台は派手で、設定も勢いがありますが、物語の核にあるのは「尊厳を取り戻す」というとても個人的な願いです。だからこそ、主人公が力を振るうたび、その裏にある鬱屈や怒り、そして解放感がしっかり伝わってきます。
復讐をためらわない姿勢も、どこか清々しく、読んでいて感情が濁りません。

読み進めるほどに、主人公が少しずつ“自分を取り戻していく”感覚があり、その変化がとても気持ちいいです。スカッとする場面も多いのに、単なる爽快さだけで終わらず、「よくここまで耐えてきたな」と自然に思わせてくれるのが、この作品の強さだと感じました。

最高にかっこいい悪役令嬢です!

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