優しい音楽みたいに、心にひびくあたたかいおはなし
- ★★★ Excellent!!!
このお話は、読んでいるうちに、いつの間にか目が少し潤んでしまう作品でした。
くすっと笑えるはずなのに、なぜか胸の奥があたたかくなって、気づくと「やさしさ」について考えさせられます。
誰かにとっては困ってしまう個性も、見方を変えれば大切な力になる。
迷惑かもしれない、でも悪意はない。ただ一生懸命に生きているだけ。
そのことを、こんなにもやさしく、ユーモラスに描けるのが本作の魅力だと思います。
繰り返されるリズムや言葉は、絵本のようで、童謡のようで、
読み終えたあとも耳と心に残ります。
「ちがいを笑わず、ちがいを楽しむ」――
そのメッセージが、押しつけがましくなく、自然に伝わってくるのが印象的でした。
子どもにも、大人にも読んでほしい一作です。
そしてきっと、読み終えたあと、
カメムシを見かけたときの気持ちが、少しだけ変わるはずです。