それは確かに、存在していた関係だった。

自我と自我が、テキストを介して触れ合うこと。
顔を合わせないからこそ、声を聞かないからこそ、安心して差し出せる感情がある。
この物語は、その距離の優しさと危うさを、静かに積み重ねていきます。

チャットの更新を待つ時間、言葉を選んで指が止まる瞬間。
そこには確かに「誰かと繋がっている」という実感がありました。

顔を知らなくても、確かにそこにあった関係。
その哀しさが、最後まで否定されずに残るところが、とても苦しくて、やさしい作品でした。

その他のおすすめレビュー

早坂知桜さんの他のおすすめレビュー229