宗教に対する考察が物語に深みを与えています

 どの世界にも存在する「宗教」
 どの宗教にも「神」が存在し、人々の心の拠りどころとなっています。

 本作は主人公が「宗教」に疑問を持つことから始まります。
 そして章ごとに主人公を変えながら、物語は進んでいくのです。

 新たな主人公はそれまでの主人公から影響を受け、次の主人公へ橋渡しをしていく。

 そうして神学は深まり、物事は良い方向へと進められていた「はず」でした。

 人の生死と神学との関係や、主人公の決断など、読みどころが随所に見られます。

 よくできた論文を読むが如くです。

 小説で宗教や神について書くのは、日本では難しいのですが、己の知識を惜しみなく投入して、一片の長編小説に結実させた著者様の執念が見どころです。

 物語はハッピーエンドに向かいつつ、どんどん不穏な空気が混じってきます。
 果たして、どのような結末が待ち受けているのか。

 興味を持った方は、ぜひご一読いただければと存じます。