異世界を救えなかった異端の勇者−百年戦争異聞録−

異世界に勇者として召喚され、三年間の戦いの果てに敗れた“俺”。
仲間も国も救えず、世界は滅び、最後に見たのは漆黒の女の冷たい笑みだった。

目を覚ますと、そこは1431年フランス――百年戦争の真っ只中。
しかも俺の肉体は若い少女、アニェス・ソレルのものになっていた。
救えなかった罪悪感と、歴史の中で過酷な運命を歩む少女の身体。
混乱の中で、俺は仲間たちの声と“あの女”の残滓を感じ取り、自分がまだ終わっていないことを知る。

ジャンヌ・ダルクの処刑が迫り、陰謀と異端裁判が渦巻く時代。
異世界で得た力と後悔を胸に、俺は再び戦場へ踏み出す。
世界を救えなかった勇者に与えられた、二度目の戦いの場で。

これは――
異世界で敗北した俺が、歴史の闇と神の沈黙に挑む、“百年戦争異聞録”である。

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