ローリエさん

毎年、冬が始まると主人公の庭にやってくる名前も知らない隣人。
庭のローリエの葉をわけてもらいに来ることから、主人公は心の中で「ローリエさん」と呼んでいる。
ローリエを渡すお礼にもらうシチューや、一緒にポトフを作る穏やかな時間を通し、ふたりの距離は静かに縮まっていく。
ローリエさんの「あなたの家は、冬に帰りたい場所」という言葉に、主人公は抑えきれない恋心を自覚する。
やがてローリエさんが冬の滞在を終える季節となり、「次の冬まで待てないなら」と連絡先を渡される。
春になり、庭のローリエに花が咲いたのを見た主人公は、次の冬まで待てないと決意し、ついにローリエさんへメールを送る。
そして、季節を越えた再会の約束とともに、ローリエさんの本当の名前を知ることになる――。
ローリエの香りが結んだ、静かで心あたたまる冬の恋物語。