少年は時を止め、神は影を揺らす――花の闇に息づく、和幻想譚。

宵の桜、花の闇、息を潜める神秘――冒頭から空気そのものが物語を語りだす。
時を止めた少年・澪月と、彼を守る長倉の関係性は、主従でありながら家族の温かさも宿し、読む者の心に静かに触れる。

室町の風雅と異界の気配が溶け合い、美しさと哀しみが表裏一体となった魅力が、序章だけで深く沁みてきます。