嘘の裏に隠れていたのは――

 主人公であり、作中の語り手である二十歳の大学生のマサナオくん。彼の名前を漢字にすると、「正直」なのですが、そんな彼はその名前とは反対に嘘つきの青年です。
 
 母子家庭で育った彼は子どもの頃から嘘をつく子供どもでした。
 そのせいで、小学生の時にクラスメイトの通学バッグを隠した犯人として疑われたことも。(のちに隠されたと言っていた子の自作自演だと判明)

 そんなある日、お母さんが倒れて病院に運ばれてしまいます。
 手術は成功しますが、後遺症は残ってしまうかもしれない。
 マサナオくんは帰宅後、入院するお母さんのために必要なものを準備しようと押し入れを探します。
 
 そこであるものを見つけてしまい――。


 「嘘つきは泥棒の始まりって言うのよ」

 幼いマサナオくんにお母さんがこう諭す場面があります。
 ですが、お母さんには息子に言えない秘密を抱えていました。

 嘘の裏に隠された真実をぜひその目で確かめてください。
 きっと読後に静かな感動に包まれるはずです。
 

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