五味は五臓に入り、各々その気を養う

先に記したのは〝黄帝内経〟に記された語句です。
五味は単なる味ではなく、思考や意志を支える。
そんな考えを表しています。

現代の神経科学でも匂いや味は、記憶や感情や予測を司る脳領域に直結していると教えています。
視覚や聴覚よりも、ダイレクトに短い行程で意識に届くのです。

だから人間は、味覚へ感情を仮託したり、擬えたり、喩えたりした表現を記しました。

本作は、甘味、酸味、辛味、苦味、その4つの味覚に区分して人の性質や感情、説いて行きます。

やがては、人としての生き方その幸福へまで言及するのです。

身近な味覚の有り様を、いま一度考えさせられる秀逸なエッセイです。
ご一読をお勧めします。

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