第8話 ボンビー介護が始まった
介護離職や離職介護という言葉を耳にする。要介護状態になった家族の介護に専念する為に離職したり、離職して介護にあたることだ。ならば介護ビンボーは介護に専念し過ぎて貧乏になった? いやそうではなかろう、聞かないな、なんて思いながら貧乏な我が家はボンビー介護だわ、と一人で笑っている。
馬さんのボンビー介護は今年の九月上旬に始まった。
ことの始まりは七月の末に、蒲田で遊んだ帰りに具合が悪くなった馬さんに、親切な方が救急車を呼んでくれたそうだが、病院へ運ぶまでもなさそうと判断されて、そのまま救急車で家まで送り届けてもらった。猛暑の中をたった一つの楽しみであるパチンコに出かけてのことだった。
送ってもらったその日の夜中、トイレに起きた時に足元がふらついて倒れた馬さんは、また救急車のお世話になって、運ばれたR病院で軽い熱中症と脱水症と診断され(昼間そのまま病院行で良かった?)だいぶ塩分が不足していたことが分かった。
糖尿病や高血圧の持病で塩分を控え過ぎていたからのようだ。塩分不足が食欲不振にさせるそうで、このところの馬さんの不調はそのせいだったと分かった。私の知識不足が馬さんの寿命を早めることに繋がるのだ、と思い知らされ切なかった。猛暑対策として水分補給には注意していたが、やはり血圧のことを優先し過ぎたと猛省した。
一週間程いたR病院からかかりつけ病院へ移ると、ひと月余りで退院を迫られた。馬さんの癌は既にリンパに転移していて、転院先として介護老人保健施設や老人ホームを探すように勧められた。
しかし家に帰れると思い込んでいる馬さんを見て、私達は何とか在宅で介護しようと決心した。大急ぎで馬さんの部屋の片づけをし、ベットや簡易トイレ、車椅子、介護用座椅子、杖等々を購入して退院の日に備えた。
次の更新予定
ボンビー介護に始まって @88chama
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