これは、
優しく強く前向きな作者の物語。
小さな家に
楽しく寄り添い、
賑やかになった大家族
ひしめき合う人々
小さな家の
絶える事の無い明るい笑い声
小さな家は、時代の流れとともに、大きくなって、
……
作者は、時代の流れが生み出す、大きな波に巻き込まれる
豊かで満ち足りた暮らしが一変
貧しく窮屈な暮らしへ
作者は、時代の波に巻き込まれる
哀しく、苦しい
辛く、悔しい
はずなのに、
作者は、前を向く
振り返らない
『無ければ無いなりに』
何とかなる
何とかすると
前を向く
その強く、広い心は、何処から来たものなのか?
読者は、作品に心惹かれる
かつて、愛し、
今も愛する、
最も身近なその人が病に倒れる
愛する人が病に蝕まれいく姿を目の前にして
生きて行く
たいへんなはずだ。
過酷な治療は、
溢れる情熱を奪い
途切れる事の無かった会話も途切れる
そんな辛く、厳しい時間
追われる時間の中、
苦しいはずの看病に、
作者は、負けない。
作者は、それでも前を向く
愛する人が
病を克服する事を信じる
かつての情熱を取り戻す事を信じる
何とかなる
何とかすると
前を向く
その優しく、温かな心は、何処から来たものなのか?
読者は、作者に心惹かれる
しかし、
愛する人の身体は、
深く、静かに
病に蝕まれ続けた
作者の強い心は
愛する人の望みに応えるため
自宅介護を選ぶ
どんなにたいへんだっただろう
どんなに辛い日々だっただろう
熱い風の吹く季節も
星の凍える季節も
止められない時の流れを刻む
時計の針を睨み
秒針に
止まれと願う日々を過ごす
その時が来て、
その人を見送る日まで
やり遂げた作者
愛した人を見守り続けた作者
哀しく、苦しい
辛く、悔しい
はずなのに、
作者は、前を向く
そんな作者の苦しい時間を綴った作品は、
しかし、不思議と爽やかだ
読者の心は、作品の虜になる
その作者の書く作品には、魔法が込められているのだろうか?
その作者の綴る文章には、希望が埋まっているのだろうか?
その作者の記す文字には、人の背中を押す力が宿るようだ
どんな時にも、希望を捨てるなと背中を押す。
どんな時にも、笑顔を忘れるなと背中を押す。
どんな時にも、『無ければ無いなりに』生きていけば良いと背中を押す。
名もない、しかし、世界中の誰よりも素敵な作家が、ひっそりと、読者を応援する。
カクヨムとは、そんな場所だ
この作品の作者もそんな素敵な作家のひとり。
今、生きている事が辛いあなた
辛ければ辛いなりに生きて行けと、ひと握りの勇気と希望、そして温もりをこの作品に集う文字たちは分け与えでくれる。
これは、そんな物語。
読者の僕。
今、闘病中の家族がいる。
共に病と闘う力が欲しいと願う。
だから、僕はもう一度、この作品を読み返そうと思う。
あなたは……
「ボンビー」。この言葉を令和でも使っているのはゲーム『桃太郎電鉄』シリーズの貧乏神くらいではないでしょうか。この言葉がブームだった30年ほど前に生まれた作品です。
本作では筆者一家のたどった道を、最愛の連れ合いを看取った現在から振り返る物語です。高度成長期にがむしゃらに働き、時には世の中に翻弄されながらも、最後の始末は自分できちんとつけたいという連れ合い様の生き方は、まさに昭和世代の誠実な人間だと感嘆いたしました。
願わくは看取られた筆者様を始めとする家族の皆様にはこれからも長生きされ、沢山の思い出話を再会されたときに語ってほしいものです。
お金も時間も心の余裕も、全部ぎりぎりのはずなのに、ページをめくるたびにふっと笑ってしまう。
ローバちゃん(@88chama様)の筆致は、介護という重たいテーマを“現実の重さのまま”描きながら、どこか人間の可笑しさや温かさをそっと残してくれる。
「大変だよね」と言いながらも、結局は見捨てられない優しさ。
その優しさが、時に自分を追い詰めてしまう矛盾。
介護の現場にある“どうしようもなさ”と“それでも続けるしかない日常”が、リアルで、痛くて、でも温かい。
読んでいるこちらの胸にもじんわり染みて泣けてくる。
特に、貧しさゆえの選択や葛藤が、単なる悲壮感ではなく、生活の匂いとして描かれているのが印象的です。
「生きるって、こういうことだよな」と静かに頷かされる。
読後には、少し肩の力が抜けて、
「明日もなんとかやってみるか」と思わせてくれる切なくも温かな作品です。