死んだ君の時間は止まっても、生きている僕の時間は流れていく。
- ★★★ Excellent!!!
一人の知人女性が死んでから、主人公の僕の心には空白ができた。その空白を埋めるように、また別の知人女性を頼った。知人女性は「かさぶた」くらいにはなれると言って、主人公を気遣う。死んでしまった知人女性の時間は、もう流れない。それは確固たる事実で、抗うことができない。しかし生きている主人公の時間は体内の血液の様に流れ続ける。それもまた、確固たる事実であり、抗えなものだ。
主人公は生きているからこそ、多様な人々と出会い、少しずづ変わっていく。イラストレーターの女性や過去にピアノを習っていた先生。そして死んだ知人女性の友人だったという女性。路上ライブを行っていた女性や、主人公のピアノが好きだという後輩。
他人の死を糧にするということは、その死を弄ぶのとどこが違うのか?
そんなことを考えさせられました。
確かな文章力と、巧な表現力を兼ね備えた純文学作品。
是非、御一読ください。