この気持ちに、名前を付けてしまったら――。

 三人の男女の視点から描かれる群像劇的作品。三人とも同じ店に勤めるアルバイトスタッフだ。クリスマスを迎えつつあり、店は賑わっていた。連日満席状態だった。
 クリスマスの日はバイトが休みだった女性は、今年は一人で過ごすのか、それとも奇跡的に彼氏ができて彼と過ごすのか、と考えていた。そこに、一本の電話が入る。アルバイトスタッフの男性が風邪をひき、シフトに穴が開くから入ってくれないか? という店からの電話だった。くしくもクリスマスはアルバイトに入ることになった女性は、密かに電話口の相手に思いを寄せていた。
 シフトに入ってくれた女性を気遣い、電話をくれた男性は帰りに送ってくれると言い出したのだが……。

 クリスマスの日に起こる恋の奇跡の物語。
 しかしこの奇跡は、本当の奇跡ではなかった。
 三人の思いが交差する、ちょっと切ない恋物語です。

 是非、御一読ください。

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