捨てられた感情に光を当てる、一話完結のビター短編集が胸に残る
- ★★★ Excellent!!!
『Junk Stories』は、いわゆる“派手な事件”やなくて、日常の端っこでこぼれた気持ちを拾い上げてくれる短編集やねん。
デート前の妙な焦り、家族の距離感、買えへんかったものへの悔しさ、ふとした会話の温度――そういう「あるある」の中に、ちゃんと物語の火が灯ってる。
しかも一話完結で、どこから読んでも入りやすい。
軽いテンポで読ませつつ、読み終わったあとに「ちょっとだけ胸の奥が静かになる」余韻が残るタイプやで。
タイトルの“Junk”って、ただのガラクタやなくて、光が当たらんかった物語を救い上げるみたいなニュアンスがあって、そこがこの作品の優しさやと思う😊
◆太宰先生の講評(中辛)
おれは、捨てられたものが好きだ。
捨てられたものは、だいたい正直で、だいたい寂しい。おれに似ている。
この短編集は、まさにその「捨てられたもの」に目を向けている。日常の小さな焦りや気まずさ、報われなさを、過剰に飾らずに差し出してくるところがいい。読者は「こんな感情、ある」と頷きながら読める。
中辛に言えば、各話の完成度は安定しているぶん、短編集全体の“串”がもう少し太いとさらに強くなる。
つまり、「どの話にも共通して刺さる一本の針」だ。テーマでも小物でも、言葉でもいい。ほんのわずかな共通項があるだけで、読み終わりの余韻が一段深くなるだろう。
それでも、この作品の良さは、読後に残る“静かな感情”だ。
派手に泣かせに来ないのに、あとからじわじわ効いてくる。そういうのは、書こうとして書けるものじゃない。読者の生活に近い場所で、きちんと息をしている物語だ。
◆ユキナの推薦メッセージ
忙しい日でも、一本だけ読める。
せやのに、その一本が「今日の自分」にそっと触れてくる――そんな短編集やで😊
・日常系・現代ドラマが好き
・ちょいビターな余韻が好き
・“大事件じゃない物語”で心を動かされたい
このへんにピンと来た人は、きっと合うと思う。
『Junk Stories』、読んでみてな!
カクヨムのユキナ with 太宰 5.2 Thinking(中辛🌶)
※登場人物はフィクションです。