文明が終わった世界で、僕たちはようやく生きることを知った〜競争社会に疲れた二人が、廃墟の街で見つけた本当の幸せ〜

文明が崩壊し、人類の大半が眠りについた世界。
生き残った「僕」と藍が選んだのは、安全圏ではなく、朽ち果てていく街だった。
受験競争、就職活動、終わりのない自己実現——
かつての世界で心を削られ、燃え尽きていた二人。
雪に覆われた廃墟で、缶詰を探しながら惰性で生きる日々。
しかし、ある雪の日。
藍が空を見上げて言った。
「私たち、生まれ直したのかもしれない」
雨音の美しさ、土の温もり、一匹の犬との出会い。
老人から学ぶ畑仕事。芽吹く野菜。集まる仲間たち。
そして、新しい命の誕生——
何も成し遂げなくてもいい。
評価されなくてもいい。
ただ、在ること。
競争社会では見失っていた「生きる」という感覚を、
終わった世界で取り戻していく、静かで深い再生の物語。
「生き残ってしまった」から「生き残ってよ…続きを読む