社畜の合理性で“魔物の国づくり”――人形姫ダンジョン運営譚
- ★★★ Excellent!!!
目覚めたら、ダンジョンで“球体関節の美少女”になっていた。
まずこの導入の掴みが上手い。
しかも主人公は「人間が攻略する側」ではなく「魔物として生きる側」から描かれ、ダンジョンの仕組みや魔物の社会性が、ちゃんと日々の生活としてある。
さらに、人形を生み、部隊を編成し、拠点を整備していくクラフト&マネジメント要素。ステータスやMP消費の説明が運用目線で書かれているので、話がチートの無双で終わらず「どう回すか」にゲーム性を感じます。
そして何より、出てくる人形たちがいい。
ちょっとした仕草で可愛さが伝わる。
読者が「うちの子」感覚で見てしまうのは、作者がゲームのシナリオを作る過程でこれを考えたから?
視点がとても面白い。
人間側が動き出す緊張感、ダンジョン主や解説役との関係性、城づくりによる“国の輪郭”――ギャグとシステムの読みやすさの裏で、世界が着実に拡張していく構成が心地よい一作。