猫をやめてしまった猫

坂道は

そっとしてほしい時に現れるのかな

だってね

道はいつも

どこへでも行けるように

そこにあるのに

ときどき　すっと　落ちてしまいそうな

そんな誘いが

あるよね

でも　

わたしは

あなたじゃないし　

そんな

あなたがそこにいることは

とんでもないカタストロフ

だ

その陥穽（かんせい）を開くのは

だれなんだろう

どちらなんだろぉ

いつ

どこにでも

うれしくて　うつくしい

破滅はある

だから　

そのために

わたしは　

わたしをやめた

その落下を

とても十全で

かけがえなく

どこにもない

だれも知らない

喜びの破滅に

破滅の喜びに

変えるために

わたしは

神様に授かった

猫をやめた

猫をやめた　

わたしが

何になれたのか

それを知るのは

あなただけ