貴女が喰らう。私が喰らう。そして貴方も。

広い世界に、自由に開かれているはずの、SNSという媒体。

けれど日夜そこを行きかうのは、まるで蛇と蛇が互いの尾を喰いあっているような、
グロテスクな閉塞感。ツバメとカラス。色違いのつがいの鳥が、そこで出会った。

この物語だけではない。
例えば、赤ずきんを狙う狼はそこら中にいるし、
そもそもその赤ずきんが無垢だとは、初めから誰も言っていない。

現代に根付く闇。不信。抵抗。希望。信頼。その果てに。
結末に一輪の花を添えたくなるけれど、これははたして、
希望なのか、絶望なのか。

餌なしに生きられるものは、いない。
見えない食物連鎖の真ん中で、私たちは生き、もがいているのかもしれません。

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