甘い匂いから始まるおいしい恋愛~爽やかなざまぁを添えて~!
- ★★★ Excellent!!!
伯爵家令嬢エリアーナ・ハワードは婚約者である第一王子アルフォンスに地味でつまらないからと婚約破棄を告げられた。涙を堪えてひとりバルコニーへ逃れた彼女は途方に暮れ――かけたところで声をかけられる。“氷の悪魔”の異名を持つ隣国の公爵ヴィンセント・アシュフォードに。そして彼のひと言をきっかけに、公爵家の料理番となるのだった。
ヴィンセントさんが言った「……腹が、減った」。まさに本作の象徴です。エリアーナさんはこの言葉に徹頭徹尾応え続けるのですから。
胃袋をがっちり掴むのは今も昔も変わらない恋愛の極意ですけれども、登場する料理が本当においしそうなのですよ。料理の過程がきちんと書き込まれていて思い描きやすいのもそうですが、ヴィンセントさんや聖獣という腹ぺこ達の反応、これが「おいしい!」を保証してくれて、読んでいるこちらも安心してお腹を空かせられるのです。
そうしてふたりの距離が近づくにつれ料理に込められた最強の隠し味、愛情もまた増えていって……どうなるものかはご自身の目で!
(「その恋はお腹から」4選/文=髙橋剛)