よい香り、よい甘味、よい恋愛、それらが織り成す無二の物語
- ★★★ Excellent!!!
エイレーネ王国にその名を轟かせるカルディナーレ香水工房。フレイヤ・ルアルディはそこに勤める調香師だったが、偶然にも王妃の目にとまってしまったことで店主から疎まれ、職を失ってしまう。再就職もままならず途方に暮れる彼女を救ったのは、彼女の香水に特別な力が宿るとの話を聞いたシルヴェリオ・コルティノーヴィスだった。
まず目を惹かれたのは各キャラクターの設定や描写が実に濃やかで、それぞれが明確な個性という色を確立していること。そして惹き込まれるのです。彼らの色と色とが交わることで生み出される新色の妙味に!
甘い物好きなフレイヤさんは困り果てていて、やはり困り果てていたシルヴェリオさんはそれを利用して彼女を雇う。始めはそれぞれの色を主張するだけだったのに、互いの心を少しずつ重ねていき、色味を変えていって。そうなのです。この作品は香りと甘味と恋愛、全部が最重要要素な贅沢過ぎるドラマなのですよ!
恋愛もの好きな人にも読み応え重視派な人にもお勧めの本作、ぜひ行方を追いかけていただきたく。
(「その恋はお腹から」4選/文=髙橋剛)