概要
南仏アルルで出会った画家は、ゴッホではなかった。
明治四十年。
西洋画を学ぶため巴里へ留学した丘谷草二郎は、自らの才能に行き詰まり、あてもなく南仏へ流れてゆく。
辿り着いたアルルで出会ったのは、赤褐色の髪をした奇妙な男だった。
名は「フィン」。
画家を名乗り、和蘭人だという。
だが国籍を訊けば「たぶん」と答え、日本に来たこともないのに日本語を話す。
その絵は奇妙だった。
まだ現れていない黒い馬。
昨日まで存在しなかったはずの古塔。
そして地中海の彼方にあるはずの、草二郎の東京の実家。
男はかつてアルルにいたオランダ人画家――ヴィンセント・ファン・ゴッホにも似ていた。
だが、ゴッホではない。
では、彼はいったい何者だったのか。
アルルから南へ、湿地と風の果て、地中海まで。
絵を描けなくなった日本人留学生と、存在すら定かでない画家が歩いた数
西洋画を学ぶため巴里へ留学した丘谷草二郎は、自らの才能に行き詰まり、あてもなく南仏へ流れてゆく。
辿り着いたアルルで出会ったのは、赤褐色の髪をした奇妙な男だった。
名は「フィン」。
画家を名乗り、和蘭人だという。
だが国籍を訊けば「たぶん」と答え、日本に来たこともないのに日本語を話す。
その絵は奇妙だった。
まだ現れていない黒い馬。
昨日まで存在しなかったはずの古塔。
そして地中海の彼方にあるはずの、草二郎の東京の実家。
男はかつてアルルにいたオランダ人画家――ヴィンセント・ファン・ゴッホにも似ていた。
だが、ゴッホではない。
では、彼はいったい何者だったのか。
アルルから南へ、湿地と風の果て、地中海まで。
絵を描けなくなった日本人留学生と、存在すら定かでない画家が歩いた数
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