概要
十センチの隙間から、神戸の空気が入ってきた。
大学一年目の春、僕は神戸・元町の学生寮に引っ越した。
西向きの大きな窓がある角部屋。夕暮れの光、舞い上がる埃、大通りを走る車、新快速の音、港の汽笛。部屋の中に入り込んでくる神戸の空気を、僕は肺いっぱいに吸い込んだ。
ただ一つ、気に入らないことがあった。
窓が十センチほどしか開かないのだ。
かつてこの寮で、窓から身を投げようとした者がいた。そのための安全対策だった。
わずか十センチの間隙。
けれど、その隙間から海風が入り、街の音が聞こえ、僕の新しい生活が始まっていく。
西向きの大きな窓がある角部屋。夕暮れの光、舞い上がる埃、大通りを走る車、新快速の音、港の汽笛。部屋の中に入り込んでくる神戸の空気を、僕は肺いっぱいに吸い込んだ。
ただ一つ、気に入らないことがあった。
窓が十センチほどしか開かないのだ。
かつてこの寮で、窓から身を投げようとした者がいた。そのための安全対策だった。
わずか十センチの間隙。
けれど、その隙間から海風が入り、街の音が聞こえ、僕の新しい生活が始まっていく。
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