概要
小野塚さまの自主企画「🎐納涼怪談会🍉」参加作品です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!誰かに見られている恐怖感と追われる焦燥感とがたまりません
ふと誰かに見られていると感じた時、人はある種の恐怖を感じるものです。
それはミラーに映り込んだ像も同じ。
それが知人であれ、赤の他人であれ、視界に入り込んで来る情報がすべてなのかもしれません。
この物語で効果的な演出を果たす鏡――丁字路に設置されたカーブミラーが捉えていたのは黒くて大きな影でした。そこから引き抜かれた凶刃。数瞬帯びるは死を導き終えた後の愉悦。次なる戦慄を求めてミラーを覗き見るのです。
目と目が合う。
ミラーを見据えて返す、黒すぎる顔――血走る双眸は嘲笑う歯列を浮かび上がらせるように、鼓膜にひたりひたりと絡ませては、怯えた網膜を焼き尽くさんと竦然と歩み寄る。
逃げ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ラストまで続くスリル満点のサスペンスホラー
いつもながら、巧みな情景描写にうっとりしながら読み始めた。
“湿った空気に熱烈に抱擁され”なんて表現は、佐藤さんならではだと思う。私には到底真似できない技である。その才能が羨ましい。
黒い男から逃げるシーンは迫力満点で、ドキドキして手に汗握る臨場感だ。
ところで、込み入った住宅街での車のすれ違いの場面で、作者の佐藤さんが“離合”という言葉を使っているのが気になって指摘したら『わざと使った』との返信。
九州、中国地方では、狭い道での車のすれ違いのことを離合という。関東から北では通じないらしい。
だが、離合をすれ違いというのは、九州人には抵抗がある。離合は狭い道での車のすれ違いのことで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!絶望のラビリンスは闇の向こう
朝未だきの暗い道を仕事に出かける男。
彼が住んでいるアパートは、酷く入り組んだ
細い道が葉脈の様に分岐している
ラビリンス。
彼ハ誰刻にも未だ早い昏闇の中で
ソレ は起こったのだが。
大きな衝撃音が聞こえる。正面の十字路を
左に曲がった先から。今度は右手から
車のドアが閉まる音。
常夜灯の心許なさに
更に目を凝らす。
そして、カーブミラーに映るもの。
緊迫したチェイスが、真夏の夜のじっとり
重たい湿度の下に繰り広げられる。
黒い影が、こっちを見据えているのを
認めた瞬間に、入り組んだ細い道がじわじわ
貌を変えて行く。
朝まだ昏い 彼ハ誰刻 は…続きを読む