朝、学級日誌をめくっていると、栞がすとんと落ちてくる。そこに書かれているのは、「あなたが好きです」という言葉だけ。誰に向けたものなのか。誰が書いたのか。ほとんど手がかりのないところから、語り手の確信だけが先に動き始めます。同じ言葉が、置かれる場所によって少しずつ違う響きを帯びていく。強く言い切られているのに、そのすぐ隣には、まだ決まらないものが残っている。その感触が印象的でした。出来事を急いで追うよりも、言葉の時制や距離、その間に置かれた沈黙を読んでいく作品だと思います。
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