概要
人類最古の神殿で花開く、いにしえの恋
――これは今から一万二千年前ほど、気の遠くなるほど昔のお話。
麦を挽いて、焼く。それが地元の娘、ウネの役目だ。
年に一度、麦が実り鶴が渡るころ、野を巡る人々がひとつの丘に集まって祭りをする。
その皆の腹を満たすのが、私のパン。……食べてしまえば、朝には忘れられてしまうけれど。
ある年、私は焼き損じた生焼けのパンを、雨水の溜まった石の窪みに落として忘れた。
数日後――窪みの水は白く濁り、ぷつぷつと泡を立てていた。
酸っぱくて、どこか甘くて、飲めば腹の底からぽかぽかと温かくなる、ふしぎな水。
丘では誰も知らなかった「笑う水」に、人々は野へ帰るのも忘れて居残り――
その騒ぎの端で、ひとりの痩せた青年が、誰も本気にしない夢を口にする。
「石を起こす。『見ている者たち』の、ちゃんとした家を建てる
麦を挽いて、焼く。それが地元の娘、ウネの役目だ。
年に一度、麦が実り鶴が渡るころ、野を巡る人々がひとつの丘に集まって祭りをする。
その皆の腹を満たすのが、私のパン。……食べてしまえば、朝には忘れられてしまうけれど。
ある年、私は焼き損じた生焼けのパンを、雨水の溜まった石の窪みに落として忘れた。
数日後――窪みの水は白く濁り、ぷつぷつと泡を立てていた。
酸っぱくて、どこか甘くて、飲めば腹の底からぽかぽかと温かくなる、ふしぎな水。
丘では誰も知らなかった「笑う水」に、人々は野へ帰るのも忘れて居残り――
その騒ぎの端で、ひとりの痩せた青年が、誰も本気にしない夢を口にする。
「石を起こす。『見ている者たち』の、ちゃんとした家を建てる
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