しかも転移先は、聖女”もどき”の少女だった。
そんな少女が魔族の王子の婚約者になって――というと、溺愛物語かなと思われるかもしれませんが、本作は違います。
もう一つの作品と連なる世界観の中で、ひと際目立っているのが女神の加護「真心」。
これ、強制的に本音を周囲に暴露してしまうんです。
相手のじゃなくて、自分の本音を。
誰かのことを思いやって、あるいは今はこれは言えない、そんなのバラさないで恥ずかしい~っ!みたいなことも、場合によってはセキララに。
本音と建前は、きっと誰もが使う処世術。
そこを超えてくる加護は時にユーモラスで、時に辛辣で。
主人公がこの加護で開く世界の色を、あなたも一緒に見てみませんか?
この作品は、王道の転生令嬢ものに、本人だけでなく周囲の本音まで強制的に暴いてしまう〈真心〉の加護を組み合わせた物語です。
特に印象に残ったのが、シャロンが幼い頃に加護を授かったことで周囲から恐れられ、実の両親からも疎まれていく過去です。本心を明らかにする力は一見すると便利ですが、嘘や建前によって成り立つ人間関係まで壊してしまいます。力を持つことが、そのまま幸福にはつながらないという描き方が印象的でした。
もう一つは、樹里がシャロンとして目覚めた後、養父母へ自分が異世界人であることを打ち明ける場面です。普通なら信じてもらえない話でも、〈真心〉の加護があることで嘘ではないと証明され、二人から新たな娘として受け入れられます。欠点だと思っていた力が、今度は絶対的な信頼を得るための力になる展開に、この作品の軸が表れていると感じました。
その後も、他人が近づけないヒースのもとへ迷わず歩み寄り、暴走を止めるなど、シャロンの力が人との関係を壊すだけでなく、誰かを救う方向へ使われ始めています。
まだ連載が始まったばかりですが、〈真心〉の加護がこれからどのような人間関係を生み、物語を動かしていくのか、これからも追いかけていきたいと思います。
プロローグは「嫌われ半魔の娘に花冠を」のラストシーンアルテナとブラントが邪神ガブドルを道連れに消滅する瞬間をそのまま描く。本編を読んでいた人には、あの結末を真正面から見せられる形になっていて、冒頭から胸が締め付けられる。
そしてその直後、場面は現代日本の「疲れた」とひとり言をつぶやく一人暮らしの女性へ切り替わる。このギャップと転換のリズムが鮮やかで、「これが転生前の主人公だ」と一発でわかる。
「❖強制本音吐露❖」という加護は、思ったことが口から全部出てしまうという、どう考えても日常生活を壊滅させる能力で、特に黒王子相手に本音が筒抜けになるコメディの構造が見えている。シリアスな本編世界に、現代感覚の主人公が放り込まれる落差が、この作品の武器だ。
「嫌われ半魔の娘に花冠を」を先に読んでいること前提の連作なので、必ず本編からどうぞ。逆に本編を読み終えた人には、この続きが待っている喜びを与えてくれる一作。毎日更新中で現在14話。