概要
捨てると、戻ります。戻るたびに――悪く、なります
市役所の地下二階に、誰も知らない窓口がある。
窓口業務で倒れて左遷された臆病な新人職員・久世が配属されたのは、警察も寺も引き取りを拒んだ「持ち主不明品」の集まる、遺失物の保管室だった。
夜ごと歩く子供靴。存在しない駅の定期券。受信者の葬儀を映すスマートフォン。
持ち主は――全員、死んでいる。
だから「返却」の宛先は、持ち主ではない。品物が抱えた、未練の宛先だ。
捨てれば、怪異は増える。宛先に受け取られれば、保管室の怪異が一つ減る。
そう教えてくれたのは、三十年前から在籍記録だけが残る、先輩職員だった。
返却には代償がある。届けた品の「最期の記憶」を、その夜、一晩だけ夢に見る。
台帳を空にすれば、普通の窓口へ異動できる。その一心で返し続けた久世は、やがて気づいてしまう。
返し
窓口業務で倒れて左遷された臆病な新人職員・久世が配属されたのは、警察も寺も引き取りを拒んだ「持ち主不明品」の集まる、遺失物の保管室だった。
夜ごと歩く子供靴。存在しない駅の定期券。受信者の葬儀を映すスマートフォン。
持ち主は――全員、死んでいる。
だから「返却」の宛先は、持ち主ではない。品物が抱えた、未練の宛先だ。
捨てれば、怪異は増える。宛先に受け取られれば、保管室の怪異が一つ減る。
そう教えてくれたのは、三十年前から在籍記録だけが残る、先輩職員だった。
返却には代償がある。届けた品の「最期の記憶」を、その夜、一晩だけ夢に見る。
台帳を空にすれば、普通の窓口へ異動できる。その一心で返し続けた久世は、やがて気づいてしまう。
返し
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