華族の娘として優雅な日々を送るはずだった百合は、鹿鳴館の眩い光の中で出会った一人の青年に心を奪われる。その衝動のまま男装し、陸軍大学へ飛び込む展開がまず痛快。だが待っていたのは華やかな青春ではなく、軍の内部に潜む怪事件の連続。明治という激動の時代らしい、文明開化の光と影が物語の背景に濃く滲み、百合の選択が単なる恋の勢いではなく、社会の枠組みを越えようとする意志として立ち上がる。鹿鳴館の煌めきと軍学校の不穏さ、その対比が読者を引き込み、彼女が何を掴むのかを見届けたくなる。
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