住宅街の一角に祀られた古びた祠、そこを訪れた者が助けを求めるとカンナギカンナが現れ救いの手を差し伸べてくれる……という都市伝説がある地域の物語なのだが、この巫環奈がとにかく変な姉ちゃんなのだ。
見た目こそ人間の美女なのだが、服を着たまま勝手に人の家の風呂に入ってるし、やたら偏食だし、フルネームで名前を呼ばないと機嫌を損ねるし……と言動一つ一つのクセが強い。されど彼女の持つ力は本物。写真に映っている人間の魂を自らの身体に降ろし、生死を問わず、その人物との会話を可能としてくれる。
この巫環奈が、その力を使って悩める人々の問題を解決していくのだが、各話ごとの依頼者たちが、同じグループの親友と連絡が取れなくなったアイドル、好きな男子にバレンタインのチョコを送りたい小学生、卒論のために都市伝説の取材をしたい大学生、敵対グループに仲間を攫われた不良少年など、事情も深刻さもバラバラで実にバリエーション豊か。それぞれが全然別な話でありながら、各話の登場人物が意外な形で繋がっていたりして、読み進めるにつれてちょっとした驚きも与えてくれる。
そして何より自由奔放に振る舞う巫環奈とそれに振り回される人々のやり取りが一番の魅力。まず試しに第一話を読んでみて、巫環奈というキャラクターを気に入ったならば最後まで楽しめること請け合いの一作だ。
(「令和の都市伝説」4選/文=柿崎憲)