一人だった少年に友達ができた。それはとても喜ばしいこのはず。しかし、その友達を目にした母親の様子がおかしいのです。少年にとっては大切な友達なのに、母親にとっては排除したいほどの存在のよう。どうして友達を少年から離そうとするのか。どうして母親の様子はおかしくなったのか。じわりじわりと侵食していくようでいて、スピード感ある恐怖を見せてくれます。バランスが絶妙なお話です。
父の死から変わってしまった環境において、雅人に出来た唯一の友人。楽しいはずの二人とは反対に壊れていく母。その母の壊れ具合が進行していくような展開から、さらに加速するようなラストまでの魅せ方がホラーともミステリーとも感じられる内容でした。最後まで逃さないようなテンポの良さが見事で、結末まで目が離せない見応えのある作品でした。
「ブチブチと音がして頭が取れた」という描写、そして血が流れない「真っ白な腕」というフレーズによって、大和が人間ではなく山から拾ってきた不気味な何かであったことが開示されるラストの仕掛けが見事すぎます。雅人には「優しい友達」に見えているものが、母親には「息子をあの世へ連れていこうとする呪物」に見えていたという、二人の視界の決定的なズレが最高の恐怖を演出しています。
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