概要
魔王はただ一言言った。「随分酷い扱いを受けてきたようだな」
「国のためなら死ねるだろう」
その一言が、15年間の祈りを終わらせた。
結界を張り、浄化し、疫病を抑え、災厄を封じた。
感謝されたことは、ほとんどなかった。
偽聖女に成果を奪われ、公の場で断罪され、
それでも反論しなかった俺が、初めて口を開いた。
「……そうですか。なら、もう祈りません」
俺が消えた三日後、王国の結界は崩壊した。
疫病が広がり、魔物が増え、人々は初めて知った。
当たり前に享受していた奇跡が、たった一人の犠牲で成り立っていたことを。
俺はもう、振り返らない。
魔王はただ一言言った。
「随分酷い扱いを受けてきたようだな」
―――これは、聖人が人間に戻る話だ。
第2回カドカワBOOKSファンタジー長編コンテスト応募作品です。
企画詳細
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その一言が、15年間の祈りを終わらせた。
結界を張り、浄化し、疫病を抑え、災厄を封じた。
感謝されたことは、ほとんどなかった。
偽聖女に成果を奪われ、公の場で断罪され、
それでも反論しなかった俺が、初めて口を開いた。
「……そうですか。なら、もう祈りません」
俺が消えた三日後、王国の結界は崩壊した。
疫病が広がり、魔物が増え、人々は初めて知った。
当たり前に享受していた奇跡が、たった一人の犠牲で成り立っていたことを。
俺はもう、振り返らない。
魔王はただ一言言った。
「随分酷い扱いを受けてきたようだな」
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