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概要
享保十四年、長崎奉行所勘定方組頭の樋口貞十郎は、将軍吉宗が買い上げた象を長崎から江戸へ届ける御用を命じられる。前例もなく、頼れるのは帳面だけ。唐通事の林七官、広南の象方・譚阿福とともに、貞十郎は三百四十里の道を歩き出す。餌、宿、橋、川越え、見物の群れ。象が通るあいだ鐘を鳴らすな。沿道にそんな触れが回り、声を殺した数千人が巨象を見送る。
道中、象は人々を驚かせ、笑わせ、時に役人や武士の面目を揺さぶり、やがて従四位の位まで授けられる。勘定と記録を仕事にしてきた貞十郎は、旅の終わりに知る。帳面に書けるものだけが、御用のすべてではない。
浜御殿で象を引き渡した後も、その歩幅と温みは彼の中に残る。十三年後、象の死を知らせる書状を受け取った貞十郎は、かつて書けなかった一行と向き合う。
道中、象は人々を驚かせ、笑わせ、時に役人や武士の面目を揺さぶり、やがて従四位の位まで授けられる。勘定と記録を仕事にしてきた貞十郎は、旅の終わりに知る。帳面に書けるものだけが、御用のすべてではない。
浜御殿で象を引き渡した後も、その歩幅と温みは彼の中に残る。十三年後、象の死を知らせる書状を受け取った貞十郎は、かつて書けなかった一行と向き合う。
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