インターネット黎明期の懐かしさを感じさせるものの、吉原の建物感覚は古さを感じさせない。それもそのはず、あの地区ではその手の新築が出来ないからだ。当時の女性トレンドを感じつつも彼女たちのいる箱は今でも劇的には変わっていない。臨場感を感じさせつつ古き良きネット文化を思い出させてくれる。
バブル崩壊後のあの独特な空気感まだどこかに明るさが残っていた時代を、この作品はリアルに再現している。テレホーダイ、ポケベル、黎明期のホームページ作成……懐かしいディテールが物語の土台をしっかり支えていて、当時を知る人には胸に刺さる。主人公がパソコンというツールを通じて吉原という特殊な世界に引き込まれていく経緯も自然で、読み始めたら止まらない。歴史の記録としても、人間ドラマとしても楽しめる一作。
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