★
0
概要
炎に消えたのは、命ではない。主君の最期を守る役目だった。
天正十年六月二日、京都・本能寺。
織田信長のそばに仕える近習、森蘭丸は、出立を前にした静かな夜の寺で、茶道具、書状、寝所の支度を整えていた。
小姓の役目とは、主君の声を待つことではない。声になる前の気配を読み、命じられる前に動くことだった。
だが未明、寺の外の闇が変わる。
揃いすぎた足音。火縄の匂い。門外に翻る桔梗の旗。
明智光秀、謀反。
本能寺は城ではない。
堀も石垣もなく、畳、障子、廊下、堂宇、庭木がそのまま戦場となる。
信長の命を救う道が失われていく中で、蘭丸は気づく。
自分が最後に守るべきものは、主君の命ではない。
信長の首を敵に渡さぬこと。
その死を、明智の手柄にさせぬこと。
天下人の終わり方を、炎の中で整えること。
弟たちとともに火の回る本能寺に残った若き近習は、命令
織田信長のそばに仕える近習、森蘭丸は、出立を前にした静かな夜の寺で、茶道具、書状、寝所の支度を整えていた。
小姓の役目とは、主君の声を待つことではない。声になる前の気配を読み、命じられる前に動くことだった。
だが未明、寺の外の闇が変わる。
揃いすぎた足音。火縄の匂い。門外に翻る桔梗の旗。
明智光秀、謀反。
本能寺は城ではない。
堀も石垣もなく、畳、障子、廊下、堂宇、庭木がそのまま戦場となる。
信長の命を救う道が失われていく中で、蘭丸は気づく。
自分が最後に守るべきものは、主君の命ではない。
信長の首を敵に渡さぬこと。
その死を、明智の手柄にさせぬこと。
天下人の終わり方を、炎の中で整えること。
弟たちとともに火の回る本能寺に残った若き近習は、命令
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?