概要
一〇〇年の闇を刻む、樫の格子と爪の音。
――建具は家を活かすための臓器だ。
大正時代。若き建具師の私は、ある資産家の屋敷で奇妙な依頼を受ける。
依頼されたのは、北向きの土蔵の中に作られる、頑強な樫の「檻」だった。
誰を、何のために閉じ込めるのか。
問いを許されぬまま完成したその空間に、一人の「白い影」が運び込まれる。
職人としての矜持が、最悪の加害へと変質していく瞬間。
閉じ込められた女性が放つ、板を引っ掻く「音」。
それは、大正、昭和、そして現代へと続く、百年の沈黙の始まりだった。
日本の歴史の闇に実在した「私宅監置」という制度を背景に描く、美しくも残酷な連作短編。
この物語は、note創作大賞の応募作です。
♪ Borderlineー鬼束ちひろ
大正時代。若き建具師の私は、ある資産家の屋敷で奇妙な依頼を受ける。
依頼されたのは、北向きの土蔵の中に作られる、頑強な樫の「檻」だった。
誰を、何のために閉じ込めるのか。
問いを許されぬまま完成したその空間に、一人の「白い影」が運び込まれる。
職人としての矜持が、最悪の加害へと変質していく瞬間。
閉じ込められた女性が放つ、板を引っ掻く「音」。
それは、大正、昭和、そして現代へと続く、百年の沈黙の始まりだった。
日本の歴史の闇に実在した「私宅監置」という制度を背景に描く、美しくも残酷な連作短編。
この物語は、note創作大賞の応募作です。
♪ Borderlineー鬼束ちひろ
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!映像的な美しさと鋭い暗喩
大正時代を舞台にした本作は、一人の建具師が土蔵の内部に頑丈な樫の格子を作る仕事を引き受けることから始まります。
そして建具師は、卓越した技術によって美しい檻を完成させるのですが、実はそれが使われる目的はーー
冒頭から怪談を思わせる静かな演出が効いており、終始独特の緊張感を抱えながら読み進めました。
そして建具師が作ることになる「檻」は、当時の時代の暗喩としての役割も担っており、職人技の描写も楽しみつつ、物語が持つ深みを味わうことができます。
建具師の揺れる心理描写も秀逸で、比喩的な文章は美しく、価値観が反転する構造になっているところも魅力的です。
プロフィールを拝見し、作者様が多く…続きを読む - ★★★ Excellent!!!閉ざされた蔵に、百年の罪が息づく。
『土蔵』は、大正期の屋敷にある北向きの土蔵から始まる、重く美しい怪奇ミステリーやね。物語の入口にあるんは、若き建具師が受けた奇妙な依頼。蔵の中に、ただの収納や防犯とは違う、どこか人の気配を拒むような樫の格子を作ることになるんよ。
ウチが読んでまず感じたんは、この作品の怖さが、突然の怪異で驚かせるものやなく、木の匂い、漆の艶、暗い蔵の空気、爪が板を擦るような音を通して、少しずつ読者の内側へ染み込んでくるところやった。建具や記録や保存といった言葉が、読み進めるほど不穏な重みを帯びていくんよ。
舞台は古い屋敷と土蔵やけど、作品が見つめているものは、そこに閉じ込められた空気だけやないね。家の中に…続きを読む