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概要
記憶は風に揺られて空の向こう
指宿の自宅の庭には、彼がかつて大切に手入れしていた一本の紫陽花があった。主を失い、雑草に埋もれかけていたその花が、今年も淡い青色を湛えて咲き誇っている。
鹿児島へ戻った君沢良子は、あの日、シーサイドももちで手放した名刺のことを時折思い出す。
結局、その名刺の主から連絡が来ることはなかった。
だが、良子の心は不思議と穏やかだった。
あの老人の、汚れを纏いながらもどこか神々しささえ感じさせた横顔。そして、彼を慕うように寄り添っていた真っ白な子犬。
「……翔ちゃん、あなたは今、幸せなのね」
第一章~第十四章
鹿児島へ戻った君沢良子は、あの日、シーサイドももちで手放した名刺のことを時折思い出す。
結局、その名刺の主から連絡が来ることはなかった。
だが、良子の心は不思議と穏やかだった。
あの老人の、汚れを纏いながらもどこか神々しささえ感じさせた横顔。そして、彼を慕うように寄り添っていた真っ白な子犬。
「……翔ちゃん、あなたは今、幸せなのね」
第一章~第十四章
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