概要
誰も悪くない。それが、一番残酷だった。
【完結済み・全54章】
地球外生命体ベルサスの侵攻で文明が崩れた後、人類は再編管理社会「オリンポス」を築いた。
西暦2992年。四十歳で成人式を迎えた建部和希は、総合A判定で通過しながら、希望した研究配属を外され、生命維持統括本部・青色施設管理部へ送られる。
そこは終末期支援を担う、穏やかで、清潔で、丁寧な施設だった。そして同時に、間違っていないまま人間が選別され、保存され、静かに削られていく場所でもあった。
制度の深部を暴くほど、和希は「正しい側」から離れられなくなっていく。英雄とは何か。継ぐとは何か。崩壊後の世界で、生命維持の意味を問う物語。
地球外生命体ベルサスの侵攻で文明が崩れた後、人類は再編管理社会「オリンポス」を築いた。
西暦2992年。四十歳で成人式を迎えた建部和希は、総合A判定で通過しながら、希望した研究配属を外され、生命維持統括本部・青色施設管理部へ送られる。
そこは終末期支援を担う、穏やかで、清潔で、丁寧な施設だった。そして同時に、間違っていないまま人間が選別され、保存され、静かに削られていく場所でもあった。
制度の深部を暴くほど、和希は「正しい側」から離れられなくなっていく。英雄とは何か。継ぐとは何か。崩壊後の世界で、生命維持の意味を問う物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!英雄譚の裏側を、引継書の手触りで描く
プロローグの最後の一文で持っていかれました。「英雄の記録というより、使い切れなかった資産の引継書に近かった」——この一文が、作品全体の温度を決めている。
戦闘描写の解像度が異常に高いのに、語り手は制御された低体温を崩さない。「獣より関節が多く、獣より考えているふうだった」「停止という概念を拒否している動き」——この種の比喩は、書ける人にしか出てこない。
「救護ではなかった。回収だった。」この二文の転換が、プロローグで最も冷たい瞬間。英雄が「人」ではなく「器材」として扱われるその転倒が、たった二文で描かれる。
ポストアポカリプスものとして、「世界が終わった後も人間は人間を消耗品として扱う…続きを読む