世界構築の密度が尋常ではない。第1話だけで、トタン屋根の雨音、継ぎはぎの鉄板、代用茶の薄さ、修理屋台の工具の触れ合う音——この街の湿度と匙いが伝わってくる。「AISの反応がないからhumanだ」という論理が面白い。この世界では「何にも属さないこと」が人間の証拠になる。システムの外側にいること自体が、存在の証明になるという逆説。語り手のアンドロイドが「吹き出しかけた」という反応もいい。人間を見たことがない存在が、「人間を見た」という話に居合わせの悪さを感じている。その居心地の悪さが、そのまま読者の好奇心になる。
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