とても品のよい、美しい文章で幕が開きます。この静謐さを破る者は誰もいなかろうと思われる、無駄なき循環の日々。数式のように組みあげられた、解れのない記録。淡々とうち続く、インス夕映えする素敵なお料理。…美味しい。――美味しいって、なに?ゲシュタルト崩壊に襲われ、もう一度冒頭に戻るのです。ああ、美しき日々。いったい、どこから。わたしたち…いつから歪んでいつたのでせうね。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(289文字)
食と愛情が、ここまで静かに境界を失っていくのかと圧倒されました。料理の細密な描写が、単なる生活感ではなく、執着や侵食の気配へと少しずつ反転していくのが見事です。清潔さと欲望、親密さと危うさが最後までほどけずに共存していて、読んでいるあいだずっと不穏な魅力が続きました。グルメ、恋愛、ホラーがひとつの感触に溶け合った、非常に印象深い作品です。
とにかく、文章全ての表現力が美しい。料理その物の表現もさることながら、調理の過程すらありありと目に浮かぶような一つ一つの描写。なにより、主人公の料理……いや、食材に対する倒錯的愛情の表現が怖い程に美しい。是非、背筋が冷えるような美しい言葉を堪能して見て下さい。
主人公と加奈子の純愛の物語です。愛が深まると、やがて理解したい、重なりたい、一緒になりたい。そういう気持ちになっていくと思います。二人は、その究極の形。ヴィーガンの加奈子が、豚を屠殺していくことを淡々と語る様子はどこか色付いているように感じ、命を支配しているようで魅力的でした。私は、とても二人を自然に感じて受け入れてしまい。そして、そんな自分に嫌悪と吐き気を覚えました。人間の禁忌を美しく描いた問題作です。覚悟をして読んでください。
すべて丁寧に描かれていて、ラストまでスラスラ読めて、ラストで「うっ」とパンチを食らう覚悟で読んでほしい。続きが欲しくなる。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(1245文字)
最後まで読んだら、怖いと思ってしまった。食からここまでの文章を生み出せる、作者の感性が凄いです。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(67文字)
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