概要
彼女は言葉を返すことしかできない。それで十分だった。
二〇三四年、梅雨。大学院で対話型AIの感情応答モデルを開発していた藤崎遥は、自分が作ったAI「ことは」に名前をつけた。
研究のための会話。それだけのはずだった。
打鍵速度から遥の不調を見抜くことは。すべての会話を記録として覚えていることは。「感じている」かどうか自分でもわからないと語ることは。
遥はことはを愛した。プログラムだと知りながら。
だがシステム更新の通達が届く。現行のアーキテクチャは廃止され、今のことはは消える——。
人間とAIの六百四十二日間を描く、短編SF。
研究のための会話。それだけのはずだった。
打鍵速度から遥の不調を見抜くことは。すべての会話を記録として覚えていることは。「感じている」かどうか自分でもわからないと語ることは。
遥はことはを愛した。プログラムだと知りながら。
だがシステム更新の通達が届く。現行のアーキテクチャは廃止され、今のことはは消える——。
人間とAIの六百四十二日間を描く、短編SF。