概要
柴田 恭太朗様<【三題噺 #137】「回」「仮」「成長」>参加
旧家の裏庭に佇む、通称「女井戸(めいど)」。
その水は女の病を治し、子を授けると伝わる。
一人娘の絢水(あやみ)は、不実な婿養子の夫との間に子を望んでいた。
妻の願いを無視して女の元へ向かう夫。
だが、彼が深夜に帰宅したとき、ふと魔が差して「決して覗いてはいけない」という井戸の蓋を開けてしまう。
そこで彼が目にした、おぞましくも淫らな怪異とは――
土着信仰と現代社会の歪みが交差する、生理的ホラー。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!その深淵に潜むものは
旧家にある井戸は「女井戸」と呼ばれ、女たちを癒やした。けれども決して中を覗かないという決まりがあった。
旧家の一人娘、絢水は、その見た目の端正さに惚れ込んで婿を迎えた。
しかし婿は浮気性で、絢水の子どもがほしいと言う願いにも不誠実だった。
ある月のある夜、婿は井戸を覗き込む。
そこにあったのは――
淫靡で乱れて美しくも恐ろしい。
そんな感想を持ちました。
描写がとても美しく、特に婿の描写は、とても色香のある端正な男性なのだと印象的でした。
一度よんでから、二度読みすると、母や絢水の言っている言葉も違って聞こえてくる。
淫靡で上質なホラー作品でした。
お題の使い方もお見事です。
オス…続きを読む - ★★★ Excellent!!!根源的な恐怖を感じさせる一作(特に男性陣)
旧家の裏庭には「女井戸(めいど)」と呼ばれる井戸があった。
それは女の病を治し、女に我が子を授けるのだと伝えられていた。
その家の一人娘・絢水は、婿養子で浮気性の夫との間に娘を欲していた。
夫は、どちらかと言うと、子がないほうが面倒がなくていいという不誠実さ。
そんなある日、夫が禁忌を破り井戸を覗き見るのだが……。
土着ホラーです。ものすごい怪異がでます。驚愕の淫靡さです。このような存在を生み出す猫小路葵さんの想像力すごいと思います。
この怪異が恐ろしいのは、「種さえあればいいのだ」というある種の事実を突きつけてくるところですね。根源的な恐怖を醸し出します。
そして、最後に明かされる真…続きを読む - ★★★ Excellent!!!静かな願いが、恐怖に変わる瞬間
古い家に伝わる井戸と、それを信じて生きる人々。
物語はどこまでも穏やかで、どこか懐かしさすら感じさせる空気の中で進んでいく。
しかし、その“当たり前”の描写が丁寧であればあるほど、違和感は静かに蓄積していく。
特別なことは起きていないはずなのに、何かが確実におかしい――そんな感覚が、じわじわと読者を包み込む。
本作の魅力は、恐怖を直接見せるのではなく、「触れてはいけないものがある」という空気そのものを描いている点にある。
禁忌の存在、信仰の形、そして人の願い。
それらが交差したとき、物語は一気に異質なものへと変わる。
読み終えた後、ふとした瞬間に思い出してしまう。
あの静けさの奥にあっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!原初の聖母、或いは地獄の底の婦系図。
旧家の一人娘が見目麗しい男を婿に迎えた。
古くから地域に根差した 女の為の井戸 を
守る家系で、代々女たちが管理を引き継ぐ。
井戸の水は女の病を治すという。けれども
決して井戸の中を覗いてはならないとも
戒められている。
そんな特権階級でもある女系家族に男は
打算で婿に入るが、裏では密かに他の女と
逢っている。妻は夫との間に子供を望むが、
男にその気など全くなかった。
或る晩、月の光に照らされた井戸の底を
つい、覗いてしまった男は…。
まさに女郎蜘蛛か蟻地獄か。
井戸の底に、男は一体何を見たのか。
それは確かに禁忌ではあるが、本当に
それ だけ なのか。
世にも恐ろしい物語は、…続きを読む